いままで、何度もいろんなお客様にご質問いただいて
いつも返事に困る質問。それが「このゴムの耐熱温度は何度ですか?」
う~む。なんて答えてよいのやら・・・
多分プラスチックの世界では常識なのでしょう。
プラスチックの業界の方は平気でこのように聞いてこられます。
しかし、多分これもプラスチックとゴムの違いによって
ゴムでは何ともお答えしにくくなるのです。
というのもプラスチック(熱可塑性樹脂)の場合は、ずばり耐熱温度または
使用可能温度域(使用可能温度の上限)がはっきりします。
なぜなら、熱をかけると柔らかくなる樹脂の場合は
融点(樹脂が固体から液体に変化する温度)や軟化点(樹脂が柔らかくなる(徐々に液体になる)温度)が明確に定義できるのです。つまり、その温度以上では固体としての形状を維持できないためその温度が耐熱温度、使用可能温度の上限になるわけです。
しかし、ゴムは燃えることはあっても、プラスチックのように熱で短時間に溶けることはありません。熱硬化型の高分子であるゴムは熱にも強いのです。
しかし、ゴムは熱が加わっている状況に長い時間放置すると劣化します。
徐々に硬くなったり、柔らかくなったり、伸びなくなったり、すぐ切れたり。
(これらの試験は熱老化試験ともいわれます)。人間もゴムも老いると徐々に柔軟性や張りがなくなるようです・・・・
ですから、ゴムの場合、例えば250℃の環境下にゴムを72時間とか置いておいて
どれだけ劣化したかを耐熱性の指標としています。
ゴムはすぐに溶けないけど、熱をかければ間違いなく劣化する。
使用希望温度域で連続使用した場合にその劣化の度合いがユーザーとして、そのゴムの性能として許容できるのかどうか?!そこがゴムの耐熱性を図る判断基準であるのです。
プラスチックの様に「この温度以上はあたしはもう固体じゃいられないの・・・」
というものでないだけに、「○○度まで耐えれます」とお答えできないわけです。
むしろゴムは、身をすり減らしながら厳しい温度に耐える(本当の意味での耐熱ですな)
生活をしていて、ある日突然死を迎える・・・そんな感じでしょうか。
ですから、これをお読みの皆さん、どうかもう「ゴムの耐熱温度は何度ですか?」
って聞かないでくださいね。。。
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